イライラしないで子育てを!発達障害のADHDの子供への接し方と特徴
発達障害のなかに、ADHD 注意欠如・多動性障害というものがあります。
ADHDは体を必要ないときにゆするなどの「多動」、忘れ物や物をなくすなどの「不注意」、人の会話に割り込むなどの「衝動性」の3つの特徴があります。
ADHDはその特徴から、日常生活で生きずらさを感じることが多く、接する側もどうしていいか分からない場面が多くあります。
今回は、ADHDの特徴と、親にしてほしい、イライラしないADHDの子供への接し方をご紹介します。
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ADHDの特徴
・授業中など、静かに座っていないといけないときも、体を揺らしたり立ったりと、落ち着きがない
・人が話している会話の途中でも遮って、別の話題を話してしまう
・質問が終わっていないのに、答えを先に話してしまう
・子供なら欲しい物があると床に寝そべってでも抗議して、大人なら衝動買いをしてしまう
・忘れ物が多く、用意しようと努力しても忘れてしまう
・不注意なミスが多く、何度も同じミスを繰り返す
・耳がよく、小さな音でもうるさいく聞こえる
・肌の感覚が敏感で、触られるのを嫌がる。服の素材も着られないものがある
・物をなくすことが多い
・興味があることにはとても集中して、周りが見えなくなる
・段取りをたてて作業することができない。目の前のことをする
・目の前にあることしかできず、2つのことを同時にこなすことが難しい
・何か作業していても、他のことが目に入るとそっちに移ってしまうため、元の作業が進まない
・不注意のためしたミスに落ち込みやすく、なかなか気分が戻らない
・怒るときは急に怒り狂い、自分でも気持ちのコントロールができない
・重要なことでも約束の期限を忘れたり、期限を守れない
ADHDの子供の接し方
おもちゃを片づけないときはできる範囲のルールを決める
ADHDの子供は、大人になってからも整理整頓が苦手な人が多く、物を片づけることは困難なレベルです。
サリ・ソルデン著者の「片づけられない女たち」という本が一昔前流行りましたが、この作者はADHDです。
ADHDは、やる気をもって部屋を片付けようとしても、本を手に取ったり、写真を見たりすると、目の前のことに没頭して、片づけることを忘れてしまいます。
それは脳の神経回路がそうさせているため、どんなに「片づけなさい!」と叱ったところで無意味なのです。
ADHDの子供におもちゃを片づけさせるには、以下の方法が有効です。
・部屋にテープで線をひいて、おもちゃを出していていいゾーンを決める
・大きな箱を用意して、仕分けなどせずすべて一緒くたに片づける
・おもちゃを片づける箱に、片づけるおもちゃの写真を貼る
・物を減らし、物を増やさない
このような方法をとると、ADHDでも「こうすればいいんだ」と理解しやすいので、部屋中おもちゃが散乱することがなくなります。
ADHDは頭は良いので、視覚にうったえて、わかりやすく作業をさせることが大切です。
勉強や宿題に集中できない
ADHDの子供は、好きなことには集中力を発揮しますが、嫌いなことや興味がないことは集中できず、思考があちこちにとんでしまいます。
勉強をしていたと思ったら、目についた漫画を読んでしまうのはその典型です。
ADHDでない子供は、勉強をしたくない代わりに漫画を読みますが、ADHDは少し違います。
勉強を頑張ろうと思っていざ勉強しても、目に大好きな漫画が飛び込んできた。
すると、勉強がするっと頭から抜けて、漫画のことで頭がいっぱいになってしまいます。
気が付けば夢中で漫画を読みふけっており、お母さんから怒られるまで勉強のことを忘れてしまい、自分でも自己嫌悪に陥ります。
ADHDの子供に勉強や宿題をさせるには、以下の方法がよいです。
・気が飛び散らないように、段ボールなどで机を仕切って視界を遮断する
・遮音ヘッドホンやイヤーマフなどをつけて、音が聞こえない状態にする
・スマホのアラームを利用して、宿題をやっていることを忘れないようにする
・夕食の前に宿題をすませないとご飯は食べられないなどのルールを決める
・部屋ではなくリビングで勉強をさせて、横道にそれたら修正してあげる
集中できるヘッドバンド
AVANTEK 防音イヤーマフ 遮音値34dB 金属なし 耐摩素材 超弾力性ヘッドバンド ANSI S3.19&CE EN352-1認証済み 聴覚保護 (ブルー)
僕はADHDの社会人で仕事をしていますが、家に仕事を持ち帰ったときは、集中するためにこの遮音ヘッドバンドを利用しています。
音が遮断されて、周囲の音が気にならなくなるので、目になにか飛び込んできても集中が途切れにくいです。
ADHDは、耳が異常によいので隣の家のテレビの音まで聞こえたりするので、完璧に音を遮断するのは高い効果があります。
アラームのセットは、集中力が切れやすい20分ごとに設定して、その都度アラームメモに「宿題をやる」と書いて、いま自分がなにをしなければいけないのか忘れない工夫をします。
衝動的に飛び出してしまう
ADHDの子供は、衝動的に駆け出して、びっくりするようなことをするときがあります。
警報が鳴っている遮断機に、なにを思ったのか突進していったり、目を離すとほんとうにひやりとさせられることがあります。
この衝動性はADHDの特徴的なもので、大人になるにつれて軽減していくことが多いです。
僕も授業中立って歩き回るような子供でしたが、今は会議中貧乏ゆすりをするくらいにまで軽減しています。
・少し危ないくらいのことならさせてみて、痛い目にあわせてみるのもいい。
本能的に危ないことだと分かり、その行動はしなくなる
・幼児ならハーネスリュックをつけさせて、行動を制限する
荒療治だった衝動性の治療
ぶっちゃけ、衝動性は理性抑えられるものではないので、どんなに叱っても言い聞かせてもなくなることはありません。
それがADHDが生まれ持った特性だからです。
僕はADHDですが子供のころ、車が走っていても車道に飛び出す子供だったそうです。
何度言っても聞かなかったので、母親が僕を車に乗せて、「これが30キロよ、遅いでしょう。これでぶつかったらどうなると思う?」
と言って、急ブレーキをかけて、僕は車のなかですっとんで、頭を打ってむち打ちになったことがありました。
30キロという遅いスピードで、これほど痛い思いをするなら、あんなに速い車は恐ろしいと、その時初めて感じたのを覚えています。
それから、車道への飛び出しはなくなったそうです。
このように、荒療治ですが、少し痛い目をみないと本能的に危ないことがわからないというのが、ADHDなのだとおもいます。
手を上げたくなったとき
発達障害は感情のコントロールが下手で、とくにADHDはそこに暴力的な衝動が加わるのでやっかいです。
すぐに友達に手を出してしまったり、その後怒られる、叩いたらその子がどうなるという想像力に欠けています。
そのためすぐに手が出てしまうのですが、止めるための有効な方法はあります。
・どうして叩いてしまったのかを聞いて、気持ちを落ち着ける
・今後どうしたらいいのかをよく話し合う
・手を上げたくなったら大声を出しなさいと教える
・手を上げたくなったら自分の右手で左手をパンチしなさいと教える
・指の爪をわざと長くしておく
気持ちを落ち着かせて今後を考える
まず基本として、友達を叩いてしまったときは、気持ちを落ち着かせたうえで、そのときの状況をよく話し合います。
どうして叩いてしまったのか、そのとき気持ちがどう動いたのか、その気持ちは止められなかったのかなど、気持ちに重視して話します。
そして、今度叩きたくなったときに、どうすればいいのかを話し合います。
大声を出してストレスを発散したり(周りの大人にSOSを出す意味合いもあります)、人を傷つけるより自分の手にパンチして怒りを鎮める方法は効果的です。
僕の親がしていた方法ですが、僕がパンチして友達をやっつけるので、爪をわざと切らずに長くしていて、「爪がささったら俺のげんこつを思い出せ」と父親に言われていました。
ぐーをして爪が手にささると、父親が叱ったときの記憶が思い出されて、それ以上喧嘩しようという気がなくなりました。
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教室を動き回る
発達障害のなかではADHDの衝動性にしか見られない特徴で、ADHDならではの特徴、「動き回る」というのがあります。
これこそがADHDだと思っている人も多く、授業中に歩き回って、席に座っていられない子供は、ADHDの可能性が高いです。
じっとしていられないのには理由があり、一番は「気持ちが落ち着いてない」という点です。
授業がつまらないのではなく、逆に緊張していたり、そわそわする、居心地が悪いなどの理由から抜け出そうとして席を立ってしまいます。
ADHDは体を動かすと気持ちが落ち着くという特徴があり、気持ちを落ち着けたいために動いてしまうんですね。
そのため、授業中や静かにしていなければならない場でじっとしていなければならないときは、その気持ちを理解すればうまく対処できます。
・足を上下に動かしたり、手をひらひらさせる
・足を自転車をこぐように机の下で回す
・筋トレをして座っていられる筋力を身につける
・ダンスのポッピングというジャンルを覚えて、座りながらポッピングをする
・先生の理解があれば、教室の後ろでラジオ体操する
座ったまま動ける工夫が大事
体が動けばいいのですから、なんとか落ち着けるように座ったまま体を動かす工夫をしましょう。
大人になると衝動性は収まることが多く、子供のころは歩き回っていたのに、貧乏ゆすりだけで対処できるようになる人も多いです。
手軽にやれて効果が高いのは、机の下で自転車をこぐように足を回す方法です。
中度ほどの衝動性ならこれだけで対処可能です。
僕が小学生のころなんとか動き回るのを止めたいと思い、自らの考えでやっていたのが、ポッピングダンスという、体をはじいて踊るダンスをしていました。
首や胸を同時にはじいて動かすので、座ったままでも手軽に動かすことができます。
軽く見えても運動効果も高いので、結構つかれるので、動き回りたい欲求をかなり抑えることができます。
さいきん驚いたADHDの衝動性を抑えるマシーンがあります。
それがこのペダル付机です。
ADHDの動いて落ち着きたいという気持ちをうまく解消して、落ち着けたうえで勉強に集中させることができるという優れものです。
ずっと足でペダルをこいでいられるので、とても羨ましいです。
日本の学校も、柔軟にこのようなペダル付机など導入を検討してほしいものです。
忘れ物をする
ADHDはワーキングメモリーが低く、これは大人になってもあまり改善されることがありません。
それくらい、ADHDにとっては長期的に付き合っていく課題だということです。
子供のころから、忘れ物に対する、「その日必要な物」に対する取り組みかたを考え、工夫しておく必要があります。
・子供に持っていく物を準備させて、親が確認し、忘れ物があったら子供に用意させる
・教科書を2冊買う、あるいはコピーして、学校にずっと置いておく
・ノートはファイリング式にして、5教科のノートを1冊にまとめて忘れ物を防止する
・ノートを忘れ物した場合にそなえて、予備のノートを学校に置いておく
・体操服は使った日にすぐ洗濯し、次の日に持って行って置きっぱなしにする
忘れ物をなくすではなくどうカバーするかが重要
持っていく物を親が確認するというのは、ADHDの親にとっては当たり前の毎日の日課かもしれません。
しかし、それだけしていてもADHDの忘れ物はなくなりません。
大人になってからも続く問題なので、「いかに忘れ物をなくすかではなく、忘れ物したらどうカバーできるか」に重点をおいたほういいと僕は思っています。
ADHDは脳の構造から、どんなに言い聞かせても、自己嫌悪に陥って、「もう絶対忘れ物はしない!」と誓っても、忘れ物をします。
そのため、忘れてもどうにかなるという補助が必要です。
教科書を2冊買って置勉したり、ノートは1冊にしたりと、忘れ物をしてもなんとかなるという工夫を重視したほうがいいと思います。
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