発達障害が利用できる就労支援をフル活用していい仕事につこう!
発達障害と診断された人の就職率は、それ以外の人と比べると新卒でも4人に1人しか就職できていないというデータがあります。
高機能発達障害でみてみると、正社員での雇用はわずか2割と、ほとんどが派遣社員、アルバイトとして働いているのが現状です。
発達障害の就職はむずかしい、就職できたとしても、継続することが困難な状態といわざるえません。
じっさい、僕もADHDと学習障害の35歳というおっさんな年齢ですが、転職は8回経験しました。
それでも、今は就労支援などの力を借りながら、ITプログラマーとして3年間継続して勤務することができています。
今回は、発達障害で受けられる就労支援についてをご紹介します。使わなきゃ損な支援制度ですよ。
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障害者雇用の枠を狙う
会社には「一般枠」と「障害者雇用枠」の2種類があり、障害者雇用枠は障害者手帳を持っている人が応募できます。
会社は必ず2%を障害者雇用枠を設けるという法律があるので、これを利用しない手はありません。
障害者手帳は、「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」のいずれかを持っていれば受けられます。
障害者雇用のメリット
ぼくも最初は「かっこ悪い、自分の力で就職してやる」と思っていましたが、結局はうまくいきませんでした。
理由は、一般枠で採用されたとしても、その後仕事が続かないからです。
ADHDや学習障害の障害が仕事のじゃまをして、仕事が遅い、ミスの連発、同僚とコミュニケーションがとれなくて場を乱すということが重なり、クビになったり、職場にいられなくなってしまうんです。
そんなことを繰り返し、障害者雇用を利用したほうが、さいしょから会社から理解を得られている状態なので、仕事が長続きするのではないかと考えました。
じっさい、今務めている会社はIT関連ですが、障害者雇用で入社し、一般枠では得られなかったメリットを受けられています。
ぼくが感じるメリットは以下のようなものです。
・発達障害のことがバレるのではないかという不安を感じなくていい
・平日の昼間に病院へ行く時間を融通してくれる
・自分ができる仕事を割り当ててもらえる
・苦手な仕事をしなくていい
このようなメリットがあり、とくに苦手な仕事、ぼくの場合簡単な電話対応も無理、業務内容を人に伝えるのも難しいので、その辺りはしなくていいように配慮してくれます。
なんかバカにされてない?と思うかもしれませんが、その分、得意な計算とプログラムではほかの社員の人にひけをとらないくらい頑張っています。
障害者雇用の給料
気になる就労支援での障害者雇用でのお給料ですが、平均給与は18万ほどとなり、年収200万を超えればよいほうです。
給料アップを目指したいところですが、障害者雇用での仕事は簡単なものが多く、頑張って働いても給与アップにつながらないケースが多いです。
そのため、実家住まいがほとんどで、本当の意味での自立は少し難しいのが現状です。
しかし、ぼくは入社から2年目までは15万ほどの給料でしたが、3年目からは働きぶりが認められ、少しだけ収入アップできました。
障害を隠して入社していれば、できない仕事も割り振られて、「こんなこともできないの?」となり、すぐにまた辞めていたと思います。
障害があるということを隠さずに入社して、それを理解してもらいながら働ける。
それこそが、生涯を通しての安定収入につながると思います。
今は年収は低くても、仕事を転職せずに長く働きスキルアップしていく、それがぼくの目標であり、生きていく術だと思っています。
障害者就業センターで働く力を身に着ける
就労支援の障害者就業センターは、自分に向いている職業や、どのようなレベルの仕事ができるのかを評価するためのプログラムを受けることができます。
自分に合った個別のカリキュラムが組まれるので、人と比べたり、焦る必要はありません。
もちろん国の支援制度なので無料で受けることができます。
以下のかたが対象となります。
・身体障害
・精神障害
・知的障害
・発達障害
・高次脳機能障害
・難病
障害手帳を持っていなくても利用することができます。
しかし、いざ就職をするさい、障害者雇用などで就職しようとすると、障害手帳が必要になります。
ハローワークと提携している
障害者就業センターを利用したい場合は、ハローワークに紹介してもらったり、担当のお医者さんに紹介してもらう方法などがあります。
直接問い合わせる方法もありますが、どこか通っている場所があれば、そこと連携をとったほうがその後のサポートが充実できます。
障害者就業センターはハローワークと提携しているので、障害者就業センターの授業終了後、研修の成績や障害の特徴などをセンターの担当のがハローワークの人と話し合い、適切な仕事を紹介してくれます。
ここで訓練を受けていて、障害手帳ももっていれば、ハローワークでスムーズに仕事を紹介してもらえます。
何をするのかというと
障害者就業センターではじっさいどのようなことをするのかというと、自分がどのような作業ができて、何が向いていないのかを把握するためのテストを受けます。
自分がなんの仕事をするのかにしても、何ができるのか、できないのかを把握していないと、自分が辛いですからね。
ここで自分と向き合い、課題を見つけて対処していくきっかけを身に着けることができます。
ほかにも、JSTとよばれるジョブスキルトレーニングでは、発達障害とはどのようなものかを学び、仕事で必要な会話法などを学びます。
紙の上の訓練ではなく、じっさいに他に通っている人と対話形式で、職場で起こりそうな話を想定して会話するので、とても勉強になります。
訓練の時間は9時~15時で、体調にあわせたカリキュラムが組まれます。
体調が悪い時はお休みして大丈夫なので、まずはやりたいという気持ちがあれば、受けてみるのがいいですね。
職業訓練で技術を身に着ける
自分がなりたい職業につきたい、もっと高いお給料を目指したいという人には、就労支援である職業訓練ができる「職業能力開発施設」がおすすめです。
上記であげた「障害者就業センター」と、「職業能力開発施設」はまったく違う支援制度です。
障害者就業センターは簡単なテストで職業の適性を判断したり、最低限会社でこまらないように挨拶などの訓練を受けることができます。
職業能力開発施設は、4か月~2年という長い時間をかけて、具体的な職業で即戦力になれる技術や資格を身に着けることができる場所です。
嬉しいことに、入学料、授業料は無料です!
教科書代、作業服代、資格取得の受験料だけはかかりますが、わずかなお金で素晴らしい支援を受けることができます。
ぼくもここのソフトウェア管理科で情報処理を学び、いまのITプログラマーという仕事に就くことができました。
プログラム作成のために必要なJava・C言語等をまなび、基本情報技術者の資格をとることができました。
1年間かかりましたが、それだけの時間をかける意味はあったと思います。
障害者職業能力開発校
通常の職業訓練が障害によって難しい場合、「障害者職業能力開発校」のほうがおすすめです。
こちらは身体障害者、知的障碍者、精神障害者をたいしょうに、能力開発をすることができます。
障害手帳が必須になります。
げんざいはIT関連に力を入れているところが多く、情報処理科やプログラム設計科などが受講できます。
パソコンでできる仕事を身につけられれば、障害があっても自宅で仕事をすることも可能になります。
具体的な科目
・自動車整備 2年
・空調システム 1年
・総合印刷システム科 1年
・ソフトウェア管理 1年
・電気設備科 1年
・電気設備科(第二種電気工事士試験対策コース) 4か月
・建設 1年
具体的にこのような科目があります。
自分が何になりたいのかを決めて、それができるかどうかを、障害の度合いによって設定することが大切です。
一番人気なのは自動車整備で、定員オーバーすることもあるほど人気だそうです。
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就労移行支援事業所を利用する
もう1つ、「就労移行支援事業所」で職業訓練を受けることができます。
ここは国や市がしている「職業能力開発施設」としている内容は似ていますが、「就労移行支援事業所」の違う点は、障害者総合支援法で認められた福祉サービスであることです。
そのため、サービス内容が違います。
就労移行支援事業所は、そこによって教えている内容が違い、職業訓練の内容も、取れる資格もさまざまです。
対応が臨機応変で柔軟性があり、取りたい資格が職業能力開発施設にない場合は、こちらのほうがおすすめです。
利用できる対象者は、発達障害、精神障害、知的障害、身体障碍、難病、その他と幅広く受けることができます。
料金がかかる
就労移行支援事業所は国から支援を受けていますが、上限1割で利用料金がかかります。
しかし、条件を満たせば無料で利用することができます。
また、何科目受講したとしても、料金は変わらないので、自分ができる範囲でたくさん勉強したほうがお得です。
・生活保護 0円
・低所得(3人世帯で収入が300万円以下) 0円
上記に当てはまっている場合、利用料金は無料になります。
ぼくは家が近かったこともあり、国の職業訓練を受けましたが、就労移行支援事業所に行った人の話を聞くと、こちらのほうがいろいろメリットがあったかもなと思いました。
堅苦しくない雰囲気で、和気あいあいとしていて、毎日が楽しかったそうです。
また、就職した後問題がおきたとき、そこの施設の担当者があいだに入って仲裁してくれるので、非常に助かっているそうです。
ぼくが感じているのは、発達障害は就業したあとのサポートが大事だと感じています。
このような理由から、就労移行支援事業所はより良い仕事に就職するための選択肢としておすすめです。
発達障害は就職するまでのベストな流れ
さまざまな発達障害の就労支援をまとめると、ぼくが個人的に考えるのは以下の流れがベストだと思います。
①「障害者就業センター」で仕事に欠かせない基礎を勉強する
②「職業能力開発施設」あるいは「就労移行支援事業所」で具体的な技術、資格を身につける
③ハローワークの「障害者雇用」で仕事を紹介してもらう
知識も身につけたし、資格も取得したのだから、障害者雇用枠は必要ないと思う人もいます。じっさい僕もそうでした。
しかし、発達障害は人とのコミュニケーションなど、仕事以外の場所でつまずくことが多いです。
そのため、自分の仕事をストレスなく、一直線で頑張るためには、自分を理解してくれる環境がなにより重要だと思います。
発達障害はその人によって症状や度合いが違いますが、自分にあった仕事を見つけ、いかに支援制度をじゅうなんに活用できるかで、よりよい仕事に就くことができると思います。
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