軽度の発達障害は軽くない?軽度発達障害の特徴
2017/11/09
みなさんは゛軽度の発達障害”と聞くとどのようなイメージを持つでしょうか?
ほとんど健常者と変わらない、少し変わっているくらいの人、という印象を持つ人が大半ではないでしょうか。
ですが、発達障害における軽度の意味合いは発達障害の程度が軽いというわけではありません。
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軽度発達障害とは
この場合の軽度とは、゛知的障害の程度が軽度”ということです。
発達障害を持つ人の中には知的障害も併せ持つ人と、そうでない人がいます。
発達障害の症状の度合いにかかわらず、知的障害のない人は軽度、ということになります。
ぼくもLDとADHDを併発していますが、知的な遅れは見られないので軽度と診断されています。
軽度の発達障害に見られる症状
程度にかかわらず、発達障害として見られる症状は共通しています。
ですが、発達障害には3つのタイプに分かれるので、タイプそれぞれの症状は異なります。
軽度の注意欠陥多動性障害(ADHD)
ADHDには不注意、多動性、衝動性の3つの特徴があります。
一人の人に3つのタイプすべての症状が見られることもありますが(混合型)、不注意だけの症状が色濃く出る不注意優勢型や、多動・衝動性の特徴が多く出る多動/衝動性優勢型もあります。
不注意
・失くしものや忘れ物が多い、大事な書類や約束なども忘れてしまう
・集中力が続かない、周りの音などですぐに気が散ってしまう
・何かをやりかけたまま別のことを始める
・片付けや整理整頓が苦手
・人が話をしていてもボーっとして聞いていないように見える
多動性
・じっと座っていられず、すぐに席を離れたり手や足を動かしたりする
・行動に落ち着きがない、じっとしていられない
・しゃべりすぎてしまう
衝動性
・人が話している途中でも構わず発言してしまう
・好きなことを話し出すと止まらない
・勝手に人の物を使ってしまう
・怒りが上手く抑えられないまたは些細なミスで落ち込みすぎてしまうなど、感情のコントロールが苦手
軽度の学習障害(LD)
学習障害の特徴は、全体的な知能には問題ないものの、ある特定の分野だけが極端に苦手ということです。
読み書きはできるけれど簡単な計算ができない、逆に計算は得意だけれど漢字が書けない、また、同じ分野の中でも一文字ずつなら認識できるが、単語や文章になっていると読むことができない、などその現れ方は様々です。
学習障害の種類としては「読字障害(ディスレクシア)」「書字表出障害(ディスグラフィア)」「算数障害(ディスカリキュリア)」に分かれます。
一つのタイプの症状だけでなく、例えば読字と書字両方が困難というように、複数のタイプの特徴を併せ持つ場合もあります。
読字障害(ディスレクシア)
・ひらがな・漢字どちらか、もしくは両方が読めない
・文字が逆さまに見えたり、黒い塊のように見える
・一文字ずつは読めても、単語や文章になると読めなくなる
・行を飛ばして読んでしまう
・「あ」と「め」など似た字の区別がつかない
・話を聞くのは理解できる場合が多い
書字表出障害(ディスグラフィア)
・鏡文字や逆さ文字を書いてしまう
・誤字脱字が多い
・見本を見て字を書き移せない、もしくは時間がかかる
・漢字が覚えられない
・書いた文字の大きさや形がバラバラ
算数障害(ディスカリキュリア)
・数を数えることができない
・「+」「÷」などの記号が理解できない
・筆算をすると桁がずれる
・大きい数、小さい数の概念がよく理解できない
・グラフや図形が読めない
軽度の自閉症スペクトラム障害(ASD)
自閉症スペクトラム障害は、以前は広汎性発達障害と呼ばれていて、その中でも細かなカテゴリーに分けられます。
そのうち、知的障害が見られない自閉症のことをアスペルガー症候群といいます。
高機能自閉症は知的障害はありませんが、言葉の発達に遅れがあります。
高機能自閉症の持つ症状のうち言葉の遅れが見られないのがアスペルガー症候群(AS)です。
アスペルガー症候群の特徴
・言外の意図を酌めない、そのままの意味として受け取ってしまう
・相手の表情が読めない
・他人の気持ちを察せない、想像が苦手
・空気が読めない、場に合わない発言をしてしまう
・自分の決めた手順やルールがあり、そこから外れることを極端に嫌う
・興味のあることに関しては大量の知識を覚えることができる
・好きなことに集中すると周りが目に入らない
・しゃべりだすと止まらない
・触られるのを嫌がったり、音に過剰に反応するなど、感覚が過敏になる
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軽度発達障害の問題点
知的障害を併発する発達障害は、学校の授業についていけなくなることで周囲が気が付きやすいです。
ですが、知的に遅れは見られない軽度の発達障害は発見が遅くなることも多いです。
そのため、自分が発達障害だと気づかないまま大人になるケースもあります。
ぼくも子供のころは気づかず、大人になってから診断を受けました。
早期に対処していれば療育を受ければ有効性も高くなりますが、大人になるまで気づかないとその機会を失ってしまいます。
また、好きなことには凄まじい集中力を見せたり、ある一定の分野だけは健常者以上に突出してできたりすることもあるので、できないことがあると「怠けている」「努力すればできるはずだ」と捉えられてしまうこともあります。
軽度の発達障害は個性の一つとして受け止めるという考え方もありますが、やはり健常者と脳機能に違いがあるというのは早いうちに本人も周囲も理解しておいた方がいいと、ぼくは思います。
発達障害に気づかないまま大人になると
学生のうちは学力に問題がないので見過ごされてきても、社会に出ると徐々に自分が回りと違うと気づき始めます。
長年普通の人間として生きてきたのに、学校を出て学力という物差しがなくなって初めて周囲との違いを認識させられ、鬱などの二次障害を併発しやすいです。
周囲は当たり前にできていることが自分にはできない、なぜなのか、どうすればいいのかと苦しんで、その結果ストレスで他の病気を併発することもあります。
そうして病院に行き、初めて発達障害と診断されるケースはとても多いです。
早期に発達障害を発見するためには
より幼いうちから療育を受けることはとても大切ですが、年齢が小さければ小さい程、発達障害を見つけるのは難しくなります。
小さい子供が落ち着きがないのは普通のことですし、読み書きや集団行動が始まるのは幼稚園・小学校に上がってからです。
言葉の遅れなどの知的障害が見られなければ、健診でも特にひっかからずに済んでしまうことが多いそうです。
それに、親としては自分の子供に障害があると認めたくない気持ちもあるでしょう。
ですが、何か周りの子と違う、どこか引っかかる点があると思ったら自治体などの相談機関に問い合わせをしてみていいと思います。
それで早期に発見できれば、発達障害を持っていても将来社会適応しやすくなりますし、違えば安心できますからね。
軽度発達障害についてもより理解を
軽度なら重度よりも大したことないと思われがちですが、知的障害が軽度であるがために普通の人と同じやり方ではどうしてもできないことがある、というのが理解されにくいです。
「大人の発達障害」という言葉も広がり、軽度発達障害に対しての理解は深まってきたとは思いますが、まだまだ目に見えない障害である発達障害は理解されにくいです。
そういった周りや自分自身の不理解による二次障害を防ぐためにも、軽度の発達障害についても理解が広まってくれればいいなと思います。
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